俳句る/影山影司
 
にうんざりして、欠伸を漏らすのだ。

 そんな腐った時間を終わらせるのは、ゆっくり昇る太陽でもなく、喧しいだけの鶏でもなく、揃えたように一斉に鳴き出す蝉達なんだなァ。蝉の声は、一匹また一匹と増えたりせず、一斉に鳴き出す。まるで皆がスタートラインに立つのを待っているかのように。彼らは短くも長い一週間を、平等に過ごすのだろうか。




沢山と百万の上を指折る子


 冬の夜より夏の夜の方が長い気がする。冬の夜は家にひきこもって布団にくるまって早々に温々と寝てしまいたくなるからだろう。
 先日帰省した甥っこと星を見に高台へと車を走らせた。真冬だと空気が澄み、小さな星までハッキリと見えるらしいが、幼子には冬の寒さの中じっとしているのは耐えられないだろう。
 夕立が去った後だったので思ったよりも多くの星が見えた。
 甥は真面目な顔で指折り星の数を数える。
 人差し指を曲げては「沢山」中指を曲げては「沢山」……
 沢山が、沢山だ。
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