学校と女子と男子/吉田ぐんじょう
 
はすらりとした女の子の人形で
眼が一つしかなく
またその眼はあごのあたりまである巨大なものだった
町内の美術展覧会のときにその人形を
おかあさん
という題で出していた


靴箱から上履きを出すと
いつも画鋲が落ちてくる
たまに靴底に刺さっているときもあるので
履く前には気をつけなければならない
たぶん画鋲が生えてくる材質の上履きなのだと思う
そう思い込んだ方が生きるのが楽になる


貧乏な子や容姿の悪い子は必ずいじめられて
性格の悪い子はひっそりと仲間から外される
休み時間に全裸にされて
肛門に鉛筆を突っ込まれ
泣いていた男子のことが忘れられない
けん
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