門で/石川和広
 
さびしさにふたをした
余計にあふれてきた

ふたをしろよ
もっとふたを
漬物石
がいい
いやもっと軽くてもいい
わたがし
和紙
金箔
めでたくなる

重さなんか
なんでもいい


自分でふたをすることが肝心

自分がふたをする
その自分は明日にはちがう誰かになる


そして数えきれない瞬間が奇跡的につながる
そこに私らしい人影
いやまちがいなく私がいる
さびしさにふたをしたのを誰かに埋めててもらおうとしている
そのようなお門違いのために、ひどくみっともない気取りをさらしている

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