白泥/こんぺき13ごう
 

 指の動きに気をとられ眠気よりもまさる欲にかいま溺れ
 飽くるまで落ちて落ちて落ちて底でのたうち回るのだ
 その白泥へと

 しろぉぅい
 まっしろおい
 泥から飛びたったあとは
 翳る五感で吐息を汲み、
 夜の残骸を見付けては嘆いた
 なおさら離れがたく離れがたく

「飽々したんやけどな、あかんわ、もいっかい仰向けになってくれへんか」

 泥分ち泥となし囮籠滴るこの銀針で死する迄と望めど
 かの鳥の渡来を眺めては頬を一筋憂鬱が伝い
 なおさら白く白く染まる水平線

 馴れぬ通い道を歩んでおります帰り道
 如何お過ごしでしょうかと何を見ても思う

 しろぉぅい、
 まっしろおい、
 そしてひどく醜い、
 泥、ああ、

 あなたは泥だ
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