示現/ミゼット
括られた紐は
私を食べて
箱型の実をつける
月光から逃げる為
風が吹いたら
ざあん ざあんと
ちぎれて旅立つ
泡立つ床の波の中
落ちた箱は
或いは開き波を染めて
固く閉じたものは
中に何があるのだろう
沈むもの、浮かんで流されていくもの
ざあん ざあんのその音は
返す波、落ちる箱
見えないほどに
紐に抱かれて
出来ることと言ったら
記憶の再生とコラージュ
七歳の私が十四歳の私を連れて
家から逃げている
燃えるきりんと歯車が回る
鍵をなくしたのは
おおかみにとられたせいよ
門が壊され、道の色が変わる
手を繋いでマイムを踊る
わたし、わたし、だれ?
箱が月光から逃げていく
ざあん ざあんと波の中へ
創った記憶も食べたのだろうか
泡立つ床に蜃気楼
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