抱き枕/1486 106
その言葉を言われた時はショックだった
だからいつもより大きく笑ってみせた
会場は相変わらず賑やかだった
なぜここにいるのか分からなくなった
みんなと別れた後の車の中は
独り言が虚しく響き渡った
いつもなら見逃す追い越し車両に
なんだか無性に腹が立った
こういう時に限って家族は起きているから
逃げ隠れるようにシャワーを浴びた
仕事が早いから寝ようと思っても
頭が冴えてなかなか眠れない
仰向けになって横向きになって
藻掻くほど邪念が頭を過る
仕方ないから部屋を片付けて
自然と眠くなるのを待つ
卒業アルバムを見返して気付いたこと
本当の孤独とはこういうもの
抱き枕を買おうかな
優しい温もりに包まれて
寂しい夢を見ないくらい
何も考えずに眠りたい
戻る 編 削 Point(3)