夜を呼吸する/こんぺき13ごう
 
くちゃ/ふれたらくだけるような弱い星々を/待ち望んでいた体温とはちがうブランケットと望遠鏡/だいたいそんなもので形成される夜
 指折り数えて待った逢瀬のしるし、白い薬臭いシーツから流れる優しい声は明け方に、白んでいく空の空気をからめながらわたしの肌からすべり落ちた。

 玄関の扉がしまる音で目を覚まし、今は気配すらない匂いにすがりついている。落ちたら拾わなくちゃ/ふれたらくだけるような弱いわたしたちは/なまあたたかいこの肌にふれる熱や重さをうけとめるだけの水密桃を反芻、反芻/ふと、醒めた/エデンがないならアダムもいない



 ああ、楽園よ


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