絶望の谷で 絶望の山で/sekka
 
生きるのをやめてみようかな、と思った
ずいぶん前、絶望の淵で

そんなに大事ではない
ただ少し、休みたかっただけ

それから今まで生きてきた
生きることを選択したわけではなく
死ぬのを選択しないまま時間が過ぎただけ

あの時、確かに私は絶望の真只中にいた
今はほとんど忘れかけたように生きている

いや、忘れるはずはない
だけどどこか他人事

まるで歴史を丸暗記したように
自分の人生が箇条書きに細かく頭に刻まれている
誰かの伝記のように

あのとき、私はまだ知らなかった
絶望は一点でないことを、始まりに過ぎないことを


あれから私は絶望を抜けられたのだろうか

それとも今も絶望の谷を、絶望の山を彷徨っているのだろうか










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