lady maid/土田
 
いていました
ほんとうは向かいの席にすわる人の椅子に取りつけられた雄ねじと雌ねじそれだけです

なんだかおしっこの匂いがする商店街の
つみ重ねられた赤レンガの壁をとおせんぼうしている
気ちがいみたいに陳列されたタバコの自販機をすっととおり抜け
いつものサンマルクカフェのまえ
なんとなくひさしぶりに近道をしてみた昼下がりでした

向かいの席にすわる人の椅子に座ってみました
あの子の眼球の奇跡をずっと探していました
きれいに剥離したものがまだわだかまっていました
雄ねじと雌ねじの鉄のにおいを指に擦りつけました
あの子の貧乏ゆすりだけが好きでした

いいえ
あの子と会うま
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