lady maid/土田
 
きでした
いつものサンマルクカフェのまえ
あのころからどうしても会話をしてくれない
三十度もかたむかなかった腕にこびりつく針を
ぷつんとさしてみた昼下がりでした

いいえ
気がついたら眼球からきれいに剥離したものが
そこにあるものを見えなくしてしまうから
そんなときはガムテープであたまをぐるぐる巻きにしています

うすい玻璃に閉じこめられた線のけものたちが蠢いている あの窓がステンドグラスに見えているのだ やめて、暗くしないで 閉鎖されたカーテンからの木漏れ日 そこから草花たちが嗤う 緑淫 ひどく濃い空気 内包突き抜け 同じ、眠らないままのモノ 同じ、眠ったままのモノ モノ 
[次のページ]
戻る   Point(0)