青い目薬/麻生ゆり
 

結局目薬を受け取った

そして僕は
空を見上げて目薬をさしてみた
空の青さが
いっせいに目の中に広がってゆく…
それは
限りなく綺麗な光景だった
深いふかーい水色が
幾重にも重なって
何とも言えない美しさをかもしだしている…
こんなにも
青空が綺麗なものだと感じたのは
初めてだった
今にも散ってしまいそうな
薄い雲の間から見える青空が
僕をとらえて放さない…
僕は
羊水の中を漂っているかのような
安心感に包まれていた…

そして気がつくと
僕はすっかり悩みごとを
忘れてしまっていた
きっと
些細なものだったのだろう、と
僕は思った
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