罪と罰/プル式
人さらいは恋をした
ころころとよく笑う少女だった
人さらいは少女をさらい
自分の家に閉じ込めた
他に愛し方をしらなかった
人さらいも同じ様に育てられたから
その日から少女は笑わなくなった
人さらいはあれやこれやと
少女の欲しがりそうな物を探しては
与え続けた
しかし少女は悲しそうに
人さらいを見つめるだけだった
そうして幾年かが過ぎた頃
人さらいは少女に
何か欲しいものは無いか訪ねた
少女は毛糸と編み棒を欲した
人さらいはそれがうれしく
すぐに買い与えた
少女は人さらいに毛糸の帽子を編んだ
大き過ぎたそれは
人さらいの顔を包める程だったが
人さらいはう
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