夜の空になる/結城 森士
賑やかになっていく街並みを尻目に
あたしはただ
公園へ続く道と
沙織ちゃんの横顔を辿りながら
人目を避けるように歩いていった
散々道に迷いながら
公園についてみると
公園は潰れていて
代わりにマンションが建っていた
目の中に汗が入り、瞬くと太陽が空一杯に滲んだ
斜陽はいつだって、過去の思い出と共に、傾いていってしまうんだ
「生きることは堕落していくことだ」
とは坂口安吾の言葉だっただろうか
あたしはあたし自身に確認し
言い聞かせながら
4階建てのマンションに遮光された太陽を背に
また当てもなく歩き始めた
太陽は、少女の涙と共に沈んでいった
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