あめのあいだに/竹節一二三
グラスの中に
いっぴきの金魚をかっている
パンくずを散らすと
指までたべるようにふあふあと
くちをあけてえらをぱくぱく
まどをあけると
なつの空はあおく
そこにうかぶ雲は魚のかたちをしている
ぴしょん と風とともに魚ははしり
わたしの金魚はあこがれのめで
ゆれる木々を見ている
そとにいきたいの
ひろいばしょでおよぎたい
金魚の動悸とわたしのそれが重なる
まえがみを揺らす風
水面をなでる風
地に足をつけてあるこう
風にふかれるだけでなく
風にぶつかるように歩こう
ここはわたしとわたしの金魚のいる場所
今日は金魚もおさんぽに連れてゆこう
縁日のふくろにうつしかえると
金魚はすこしわらったようにみえた
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