炭素の道程/しろう
 
目が
僕の道程を数で読み上げる
首がチリチリと痛むんだ
脱ぎ捨てて
原石だけにして

美しい
裏切りを知るほどに
磨きすぎてしまった石のナイフは
痛みを与える前に傷つけるということを
知った
それを覚える前に
この赤い動脈を千切れば良かったのだろう
洗練されていくほどに
汚れていく哀しみのほかに
眠りかけた牛ほどの
歩みを鈍らせるものはなかった

楽しみだけを浮かべることにした
みずうみは、
ペパーミントな新緑の木々を映し出し
割ってはならない鏡のような
不可侵を物語る

真円の波紋がそれを壊すなら
仕方のないことだろう
水面の鏡に
求めるべきものはないのだ
揺らして
許して

溺れるのか
泳ぐのかを決めるのは
この骨肉なのだ

赤くて白い
この骨と肉

千切って
つないで
燃やす
この骨と肉

炭素のダイヤ


僕はまた旅立つ
その道程に
燃えるもの
燃やすもの
輝くもの


共に在れ







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