炭素の道程/しろう
ダイヤモンドが燃えた
白い皮膚で
月が燃えているという
小さな嘘で
笑い飛ばしてしまおうよ
わずかばかりの白い炎が
燃え尽き果ててしまう前に
穴のあいた靴下を
霧雨のより糸で繕い直し
革のひび割れたブーツを
流星のクレヨンで磨き直して
火の絶えたキャンプから
僕はまた旅立つ
僕らは言葉を選ぶことができるのと同じように
分かれ道を信ずることができるのだ、と
先達は言った
僕は、固い赤土に白木の杖を突き立てて
風の行方に任せることにした
信ずるままに
今宵こそ
泣けるかもしれないと
毛糸のもつれを解いていくたび
まとっているセーターの編み目が
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