五月の風/アハウ
私の指が透けて通るほど
大気は爽やかに留める
木々と眼球の間
透ける空気に樹木は裸になり
沈黙の呼吸を続けて 地球は浄化され
透明な気体が絞り出されて 私は深呼吸する
透き抜ける木々とビルディング
ガラスと鋼鉄の箱の並び
通り過ぎる風 五月の風
透明に透明を増して
光が反射を続けると
清い空気と空間が
網膜に映りこんで
心にイメージのビルと木々が宿るから
心像を大切に持ち帰る
活写して 思いを遂げたら 捨像する
そして 清い五月の風と大気が
太陽光の強まりとともに透明さを増すから
今日の午後は大地は透き通るだろう
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