ハーモニクスフォルテシモ/ae96
 
音の周波数に限りなく近づくのを待つのだ。


腐らない鎖で四肢を繫がれた

天国を目指す猛獣たちが

闇夜に瞳孔を開き、

狂乱寸前の理性を保ちながら

最期へと昇る白骨色の直階段を 

一歩一歩

噛み締めるように昇ってゆくその様は

砂漠の蜃気楼や 

雨上がりの昼下がりに掛かった虹に似ている。

それはまるで

幻想の草原で花びらのように舞う

少女の可憐な仕草にも似ている。

そしてきっと

僕の笑顔にも似ている。


パラダイムを破壊し

パラダイスを創造する新たなる

人工生命の賛美歌と

敬虔な
[次のページ]
戻る   Point(0)