少女の行方は知れない/ミゼット
 

角砂糖ひとつ、つまんだら分かった
冷めたお茶の底にもうひとり
わたしがいるの

少女は集合体で出来てる
丸いもの、赤いもの、風きり羽根のコレクション

もし彼女の身体を裂いたなら
羽根の中から風船が上がる

それは彼女の嘘
それが彼女の魂だから
少女の身体は残らない
鳥が食べてしまうの、羽根を取り戻すために

鳥は四方に飛び去って
少女の身体は分解される
去った鳥はあちこちで
大きな鳥に食べられて
食べた鳥は撃たれて落ちたり
老いて土になる

そして
これが撃たれた鳥のソテー
これが庭でとったクレソン
わたしはいつかの身体を食べる

誰かがわたしを裂いたなら
少女のかたちの鳥が逃げるわ
わたしの身体は残るのかしら
裂いた誰かが持っていって、どこかで食べてしまうのかしら

午睡が砂糖と溶けた

少女の行方は知れない

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