サラマンダー/しろう
 
んな色はどうせ夜が隠してくれるもの。
今、喉を潤しているシングルモルトが心地良い熱で食道を通り抜けてその下流、つまるところ胃の中で暴れている。清流と同じで下流に行くほどにわずかな不純物で濁っていくのだろう。だから何ひとつもツマミは必要ない。

オールドファッションドグラスから氷が割れる音が部屋中のガラスをパキッと響かせた。
それは夏のキャンプファイヤーの炎の中で燃えたぎった丸太が爆ぜる音に似ていた。
そう。炎の、赤くて黄色い舌を見ると妙に心が安らぐことを思い出す。


僕の舌は何色だろうか





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