シャクシャク、/楠萃
 
パスカル、

それは
小さくて
切ない

君みたいな
方向音痴は
つきあってると
つかれるからって

こまかく
きざんで

パスカル、

こんな僕をゆるして
いつまでもたゆたっていたい
そんな僕に
足を生やさないで

道のくぼみのなにかに
気をとらわれて
車道ではねられて死んだ
僕の猫のように

「わ」
という風にわらう

パスカル、
それとも きみ、

遥か上の方に
もうひとりのきみはいますか
それでも
僕の

シーソーの影を
切なくながめるのを

こまかく
こまかく、
きざんで

僕はあの雲が
どこから来てどこへ行くのかより
どうして僕の上を通るのかって

パスカル、

それは
一本の葦ではなくて

僕の前歯

そしてそれは

小さくて

切れない

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