「空と大地のあいだで」/ベンジャミン
 
きれいな空があることを
忘れたくなかった

雨が降るのを
真下から見上げて

見上げた空がきれいであることを
確かめたかった

降りそそぐ雨が瞳からあふれても
それを涙のようには流さない

小さな塵が水蒸気を集めて
こらえきれずに落ち始めるとき
空と大地で交わされる会話

全身で受け止めて
すっと伸びながら耳をかたむける

ここからでも空に届くことを
思い出したかった

手を広げれば
無数の雨粒が肌を叩く
一つ一つの刺激が
まるで違う言葉のように
しみこんでくる

何もない空と
あふれかえった大地の間には
きっと何もないことがあふれている

そこから何かを感じることを
教えてくれているんだ

空と大地は
そのあいだにいる僕らに



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