散髪/餅月兎
 
シャキ

ジャキ

ジャギ

ジャギッ

落ちる
落ちてゆく
さっきまでわたしであったそれ
ぎらり光るハサミが引き離した

箒で集められ
ゴミ箱へ
見送ることが出来るのは
せいぜいそこまで
さようなら

お金を払って
ありがとうございましたを背に扉を開けば
三年程共に過ごした長い友の事など忘れ
軽やかな頭はあたらしい陽射しに馴染んでゆく

わたしはこうしてわずかづつ切り取られ
水に溶けてゆく砂糖のように
世のなかへ馴染んでゆく
緩やかな移動のために

いずれまた会うこともあるでしょう
いってらっしゃい
かつてわたしであったそれ
どこかでわたしを続けるそれ

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