いらだち/松本 卓也
 
文字面をいかに心地よく整えたところで
性根の卑しさを隠す事などできやしない

やけにくっきりと見える山と空の境で
手を伸ばしてみたいと嘆く現在
俺は俺自身を手始めに
軽々しく詠う輩を殴りたいのだ

いつごろから非現実な空想を口ずさめば
自称凡人とは違うとのたまう輩共が
手放しで賛意を掲げるようになったのだ

社会はいつだって富を中心において
特権意識に支配され心地よさに誑かされた
一般人達に浪費を強いている

コマーシャルから多少距離を置いたところで
惑わす誰かが変わっただけのこと
何故誰も気付かずにいられるのだ

今日子供らが親のエゴに踏み潰され
無様に鼻血を垂らしながら死んだのに
何故お前らはありもしない空想社会で
痛みも苛立ちも無い美しさを競うのだ

詩人等と言う肩書きなぞ欲しくも無い
神の視座で社会を嗤う高尚な隠者になど
俺は死んでもなりはしない
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