アナグマさんとマッチちゃん/縞田みやぎ
 
んだわ」
ついにマッチちゃんは、ぽろぽろぽろぽろ泣き始めました。

「まあまあ、なんてことだろうね」
マッチちゃんを抱き上げたのは、やさしい大きな手でした。
涙でべしょべしょの顔を、綿のハンカチで拭いてくれたのは、なんとグラニーさんでした。
子犬のジャンも不思議そうな顔をして覗き込んでいます。
「ミスタ・アナグマはどうしたんだね」
グラニーさんはバスケットを取り上げて、手際よく中身の無事を確かめ、マッチちゃんをコートのポケットに入れてくれました。
マッチちゃんはというと、グラニーさんが階段をとんとんと上っていくあいだ、ポケットの中で、ハンカチを抱えてずっと鼻を鳴らしていたのでした
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