会社の飲み会/松本 卓也
引きが
苦笑いして道を明けたのは、何故
もう二十代も終わりかけているこの頃
自分が周りに溶け込めない原因は
寂しさを過剰に意識する心根の問題
演じていたのかさえ
楽しんでいたのかさえ
もう分からなくなっていた
週明け理由を問われたら
取り繕う言い訳などもう出来ている
それで納得されるだろうし
それ以上踏み込まれることもない
寂しいから逃げ出したって
もし口に出そう物ならば
どんな嘲笑を浴びるかも分かっている
明りも点けず潜り込んだ布団の中で
懐かしい顔と名前が次々浮かぶ
あいつらは元気なんかな
あいつらと飲みたいなって
所詮は会社の飲み会で
心根を表に出してみることが
どれだけ無駄なことなのか
分かっているつもりなんだけど
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