バレリーナの爪先/
新谷みふゆ
て 穏やかに笑っていた
血豆が染め上げた足の裏を知る人もなく
鏡の前で泣いたら それでおしまい
バレリーナの爪先をして 羽を動かす彼女
三日月が搾りだす乳で あたしは大きくなった
悲しみを包んで人の肩は丸くなるんだろう
こっそり隠した腿のアザは無花果色をしていた
そうして風のないよく晴れた日に 彼女は
世界の命に溶ける・・・
あたしはいつも バレリーナの脚をした
彼女に追い付けない
戻る
編
削
Point
(2)