飛散/岡部淳太郎
 
きょうもまた
むごたらしくも
花が咲き
そして散り
音もなく
忘却はととのえられ
かるくなって
飛んでいき
あしもとのごみは
せわしなく
掃き集められ
きよめられて
そうしてくりかえし
生死のなみは
めぐっていき
一輪にも
百輪にも
おなじいのりを
そなえては
このあたたかさに
たちどまる
とおい春に
散っていったものは
やすらかだろうか
きょうもまた
むごたらしくも
花が咲き
そして散り



(二〇〇八年三月)
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