ドライヴ / ドリヴン/日野 タマ
ゃないんだよ
いったい俺たちはどこへ向かっているのだ本当の話
地名を教えて欲しいだけだったりして(笑)」と俺
俺は何を言っているんだろうね
青汁の粉末みたいなあのくらいの小ささになれたなら
窓から吹き込む風に吹かれて夏の蜃気楼の中に溶けていけるのに」」」」
甘ったるい練乳イチゴを口に放り込み
もう少しで吐きそう
青いバケツを事前に用意しておこう
想い出も
喜びも
悲しみも
俺の存在そのものも
吐き出しちゃって
お祭りの時の出店の金魚掬い
眺めるみたいにして
ずっとずっと観察してみるね
ペンでノートにメモしながら
ガクン。 と頭をぶつけてから加速
これから水を汲みに行くんだ」とT君は言う
一緒に行ってもいいかな?」と俺が言う
そのとき俺には
鹿のまんまるい黒目が
じっとこっちを寂しそうに見ているのが
見えたような気がした……
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