ドライヴ / ドリヴン/日野 タマ
丸い坂を転がり落ちていく
ポケットの中のウエハース割れる
水の流れは眺めているだけで
どうしてこうも切ないのだろう
早朝始まる前の早すぎる旅立ち
誰の声も僕の耳に届かない
決めたから 僕は決めたから
ブレーキはかけたんだけどね、遅かった。突然の出来事だったから、俺のグレートでパワフルな
反射神経も反応しなかったてわけ。たくさんたくさん血が出てた。その血はどす黒くて。
しかも轢く瞬間に、目があったんだ。鹿の、まんまるくて、かわいい目。
あの見つめ合った一瞬の光景が、今もあたまから離れないんだ。
根っこがねこそぎ抜けちゃった
初冬の霜降るきれいな朝だった
遠く
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