月と都市/アハウ
 
月からの 乾いた風が
鉄とコンクリートの都市を吹き抜けて

切れるような触角のガラスに映ると

天界と砂漠のような大地が
暗い夢のように結ばれて

解くことができない 
幻影が月の雫となって
砂のような地面に静かに染み入ると

路地の突き当りの街灯の光の下に
風は溜まり始めて 渦巻いている

きらきらと流砂はビルを埋め始めて
風に砂塵はくねる 魚

乾いた大気を自由に移動する
群れた 個 個 は 揺らめいて

吹き溜まる
風 魚 砂塵

街灯の下 ビルの軒先 路地の末

月が暗い夢を送って
都市の光はまたたきを強めて

遠く 東京湾が静かに闇に映える

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