春の約束/ましろ
春はそっとやってくる
毎年必ずやってくる
まるで地球からの約束のように
だから 私は放り出される
野原の真ん中に
「春の嵐」
真っ白な頭に昨夜の天気予報がよぎっていく
私は冬が好きだ
暖めた部屋で
ノースリーブ一枚のままアイスを舐める
冷えた部屋で
フリースの達磨になり言葉を詩を書きつける
それでも
「クェークェー」と聞こえれば
冷たい窓へ走り
鉛色の空を裂く白鳥の群れを追いつづける
スーパーの駐車場で
車のフロントガラスに張りついた
雪をみつめる
美しい結晶に 溶けてゆくまで…
そして慌てて家へとむかうのだ
そう 生まれ変わって
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