動物奇想天外/六九郎
顔とガキの顔。
さてと、登んないとな。
一息ついて立ち止まり登ってきた道を振り返る。
俺の引きずった右足が残した砂の上の線。
でもこの岩場だきゃ。
オタリアどもも登れねーけど俺も登れねーっつーの。
でもほんと死ぬかと思ったよな。
力一杯食いつきやがってあのガキ。
がりぃっっつって。
くそ。
よっこらせっと。
いててててて。
どーぞ、お先に。
俺ちょっとゆっくり目で行くからね。
うわ。
いて。
でも俺も親父になったんだよな。
ひとのガキは何とも思わないけど、やっぱ自分の子供は別だよな。
通い慣れた道なんだけど。
まだ半分しか登ってねーし。
腹空かしてぴ
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