声/ゆるこ
 
 
 
 
 
 
(こえを確かに聞いたのです)
 
黄昏時雨時のころ
ましろな空に描かれたそれは
まるでパステルピンクでお絵描きされた
小さな子供のこころのようで
 
煙草をくわえた唇が
仄かに熱を帯びていた
確かに聞いた、それは
優しい生クリームの香りがした
 
くじらが食べられるよりずっと昔
時間ですらも微笑んでいて
光は花畑でひなたぼっこしてて
空はひどく澄んだ青だったころ
 
わたしの呼吸から風が生まれ
きみの微笑みで海が輝き
鳥や魚と
会話ができていたんだ
 
 
布団のなかで
世界を展開する
悲しい小人が
死んだ瞳の小人が
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