宛先はこちら/鎖骨
知ったような顔ばかり称えて
本当は知らないことばかりなのだ
人なんてきっと
寂しさも
哀しいと漏らす響きも
どれも同じものではない
理解りきった顔をして
普遍的だとか象徴的な
感傷なんてない筈なのに
舐め合った舌はとうに麻痺して
さも優しげに嬉しげに
満身創痍の味覚障害
獰猛な蛞蝓の滑りで
重ねる鈍重な衝動
慰めあう滑稽
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痛みも温もりもすべからく共有されうると嘘をつく
共同幻想の内にしか生きていられないから
20dBの振動でも消し飛んでしまうあいつら
嘘をつく度に嘘にまみれる旅
音速を超えた誰かの言葉が全て跡形もなく
ぶち壊してしまわない限り
御機嫌よう螺旋状に下る銀河
今日も遠浅の七番線から
無茶苦茶に羅列したアドレスへ
諦観と希望を綯交ぜて送る
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