隣日/ヨルノテガム
受け取れないと返すことで意思表示をしてしまったのだ
好き過ぎてうまくいかなかったのだが、
変な別れ方をしたせいで変に忘れられない面影なのだ
面影を得るためだけの別れに思えて
遠い日は何も変わりたくないのだった
雪の日が年に一、二度あるかないかのこの街が
3日、4日とショートケーキやミルフィーユのような
段層のある大雪に埋もれると、慣れないわたしは雪降ろしで
転落し、怪我人1名として タモリさんの現地リポートに
紹介されている
お気をつけ下さい、と実況は締められ
「そうですね!」、とわたしより大声で返事をする声が聞こえる
近くに住む昔のあの女の子が もうお母さんになって
子供たちを従え、遅くなったチョコを 何の拍子か思いつきか
わたしに届けに来てくれる
わたし以外の人にも配っているようだ
見たことがない大雪の景色の、
見たことのない大体の街の外観の中、
電車もバスもご丁寧に走ってはいないけれど
行き先は雪をかきわけて在るようで
年月はわたしをどこまでも迷わそうと仕掛けてくる
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