メール/パッサカリア/チアーヌ
 
今夜のうちに良く考え、メールをプリントアウトしたまえ。明日の朝、一番鳥が鳴くまでにメールが用意できなければ、お前は断頭台の露となるだろう」
トーマス・ウエストランド・メール卿。
青白い顔に、緑の目。おまけにその緑の目は真横についていやがる。
トーマス・ウエストランド・メール卿は、口の端に笑みを浮かべると、牢獄を出て行った。
扉が閉ざされると、辺りは暗闇となり、何も見えなくなった。地面も天井も、何もかも見えない。
真の暗闇だった。
死というのは、無が永遠に続くことだ。
俺は総毛立った。
「待ってくれ、誰か俺の話を聞いてくれ。俺は死にたくない。少なくとも今、死にたくないん
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