「 いつか、どこかで春が。 」/PULL.
しんしんと、雪が降る。あたしの悲鳴を掻
き消すように。しんしんと、雪が降る。あた
し、とやつらの罪を隠す、ために。しんしん、
しんしん。と、罪深く。
雪が、降る。
しんしん、しんしん。
と、
一。
晴れた日の空は雲ひとつなくて、透きとお
った向こうからはもう、何も降ってこない、
だから、このままいつまでも晴れてみんな、
みんな解けて、流れて、なくなってしまうん
だって、想う。だけどそれは想っただけで、
現実には何も解けてなくて、明日になればま
たいつもの現実が、冷たく、凍り付いて、そ
こに、いる。
真っ白い
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)