泣かない子供/灯兎
愛というのは きっと ただの一行詩にしかすぎない
それは あなたの名前にも似ていて 好ましいと思う
赤墨だらけの 一行詩を 僕はとても素敵だと感じる
そんなふうな感じ方を 僕に教えてくれた君は
いまはもうすっかり すりきれてしまったけど
それはそれで いっそう 愛しいかもしれない
僕が人を愛するやりかたというのは 実のところはとても素直で
「理屈のバリアをはずしてふと外側から眺めたら、わけもわからず一ぺんに
涙にくれてしまうみたいな場所」に 落ちていくことなのだと気がついた
そんなふうだから とてもまっとうには生きていかれそうにない僕だけど
最後に 君には忘れてもらいたいことが あなたには伝えたいことがある
僕が君を子供みたいに愛したことを 忘れてほしい
僕があなたを愛していることを 覚えていてほしい
そのかわりに僕は 愛することを覚えて 恋することを忘れる
戻る 編 削 Point(2)