双子の町/石瀬琳々
 
たいの
   つよくつよく
   この手を握って


手紙が投函される頃
夕べの祈りの鐘が鳴り渡る
鳩は巣箱へ帰り
レタマ・ブランカの花は
やさしくつぼみを閉じるだろう
もうひとつの町を思いながら
わたしの一日がこうして暮れてゆく


   ねえあいたいの あいたいの
   つよくつよく
   この手を握って


わたしはベッドにもぐりこみ
もう一人のわたしの手を握りしめる
もうひとつの町にも
ここと同じ夜がはじまる




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