二月一日/水町綜助
 
のきれたさき
暗くも
明るくもない外で

穏やかな早さは
心臓とは違う早さ
プラスティックと同じで
記憶とそぐわない劣化
鉄は心臓にちかく
舌で舐めれば尚更
僕の鋳てる鉄
あのひとのニクロム
手に巻き取った束を
離した
青臭い空の下で
影法師を踏まずに
踏んでいた
足を離して
導火線として
発火させた

誰かが踏んだ
また
踏んだ
火を消して
君はさようなら
さようなら

知らない町へ
ゆくんだね
僕はそんな名前じゃない
呼ばないでください

オートバイや自動車がすきなのは
準備をしているんだ
こよみをめくりつづけるそれと空気のにおい
鉄に空の色が映れば
においがかげるから
遠いところでやってごらん
思い出すことは何もない
あったとしても
なつかしめばいいだけ
こんな風に
頭痛もしない程度に
話すことも
尽きる程度に
こんな風に

それでもう
尽きたから
さようなら
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