たそがれたからす/一般詩人-
霧の中で産まれ
硬質なロジックの回廊ではぐくまれ
彼岸花には生来心臓がなかった
ただ毒ばかりその身にもち
食いついた者ののどを陰惨な血でそめあげた
時が経ち
彼岸花にようやく心臓が生りはじめたころに
服毒者たちの怨念が雨垂れる汗を血に変えてしまった
僕たちはしかるべき理由により
こうして坂と階段の街半ば
紅く焼けた眼球をめぐらし
たそがれたからすの一群を
惜しみ惜しみ見送っている
萎れた片身と血の汗とをふれあい
たそがれた街の天の鐘に向きくろぐろと息を吐き続けながら
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