たそがれたからす/一般詩人-
 
僕たちはくろぐろとした息を吐きながら
紅く焼けた眼球をめぐらし
たそがれたからすの一群を
惜しみ惜しみ見送った
坂と階段の街半ばのこと

ともに見守るおとこのことをすこし
みなが半月と呼ぶおとこがいる
半月は片身がしおしおに萎れている
しけった和紙のように萎れている
片やの半身は春のたんぼのように黒く
健康な薫りを馥郁と発している
陽のにおいのする半身には
幾重にも蝶がまつわって衣をなしたが
僕たちは
萎れた半身のまぶたに雫が膨れてゆくのを
紅く焼けた眼球の奥底から見ていた

ともに見守るおんなのことをすこし
みなが彼岸花と呼ぶおんながいる
あかぐろい濃霧の
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