少年は優しい朝に目覚める/ゆるこ
神様の影が
とかげの背中で笑っていた
太陽の光を浴びて
黄昏色になった両手
家の垣根を縫って
虫捕り網は無造作に
その、ゆるいゆるい体を
風に晒して泣き出す
好きなことはいっぱいで
むつかしい言葉はさっぱりわからないから
ゆっくりした呼吸で
少しずつ味を知ってゆく
木目みたいに荒々しく
僕らは声を出し合って
うまれたばかりの感情も
全部飲み込もうともがくんだ
浸水した心は
虫捕り網も遮れないほどずぶ濡れで
少女の背中にある世界の秘密を
ひたすら黙って見ていた
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