『アクアリウムはエーテル日和』/川村 透
102号
流れは繰り返すKanon、バッヘルベルの流体目覚める
渦巻魚群はプロペラ石鹸の泡に融けてとうとう鱗、だけ。そして誰もいなくなった。
流れは繰り返すKanon、バッヘルベルの液体目覚める
黄色4号、胃液に溶けゆくピンクの節足、薔薇色の兜蟹
流れは繰り返すKanon、バッヘルベルの球体目覚める
迷宮のアクアリウム、アリアドネの頬、肉球、鯖い、ばる腹、蒼く碧く青くて
彼らも、亡霊だ!、ボ・レ、ボレ!、
エーテル流に洗われた彼女の軟骨、僕の肋膜で抱き締めるるる詩集はPageごとイルカ
になるる碧碧と薄く剥がされたコトバのフィルム・フォルム水槽のシーリングでグレイ
に縁取られた
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