網膜の海/たけ いたけ
黒々とした腐葉土から幾千と青葉が芽吹き
蔦が伸び
ゼンマイが渦を巻き
カナブンのサナギが羽化する
蟻が這い
樹木が伸び
枝葉を伸ばし花が咲く
少女はその中心で詠い
僕はそれらを網膜の奥で覗いている
そしてその手前側では君の目が優しいのだ
なんということだろう
僕はその海に溺れる
酸素ボンベをつけて
彼らは気付きもせずに土足で汚していく
彼女らも有害な言葉やまたは黙殺でもって汚染していく
僕はどんどん潜りシーラカンスを獲りに行く
ついでだから見せ付けてやろう
羽をつけて高く浮上するんだ
陳腐な汚れにも水圧にも君の目にも不条理にも母親にも誰一人とも関係なく
網膜の奥で高く浮上する
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