土蜘蛛/アハウ
幕末
鎖国の眠りは三百年
時
ガ・タ・リと音を立てて
仕掛け人形が宙を舞うと
あの錦絵に描かれた
土蜘蛛が江戸の巷を闇に乗じて跋扈していた
東京 東京と小さな声で囁いていた
時は濁流のごとく流れて
大きな戦争が二度あった
高度経済成長に沸きかえっていた
そんな日 日
土蜘蛛がその姿を消して一世紀半
幕末の爛れた武士階級を相手に土蜘蛛は戦いを挑んだのだ
土蜘蛛 その宿業を成就せよ
戦神 火星からの使者よ
退廃の極み
武士の間抜け面に捕りつけ
穴という穴 目 口 鼻から
人体に潜り込め
そして その精気を吸い取ってしまえ!
狂骨にし
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