十九首・・・じゅうくしょう・・・/佐々宝砂
 
血洗川と申すが、
じゅうくしょうの名は廃れるであろう。
今は十九の首の話を伝えるものがおるが、
そのうちみな老いて死ぬであろう。
お前は、老いて死ぬまでは覚えておれ。
小綺麗なマンションが建ち並び、
曲がりくねった道が区画整理され、
将門の首塚がなくなっても、
お前は覚えておれ。
そしてな、
いつかわしがしているように話すのぢゃ。
腐れた生首が十九、
ここに飛んできたと、な。
はるか昔の話ぢゃが。
はるか昔の話ぢゃが。



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