90’s/水町綜助
ぼくとぼくとぼくというのがぼくたちのことだが
そのぼくたちのなんということもない
へそで茶でも沸くような
毎日のことを
(毎日とは日と日と日と日と日と……)
前評判を置き去りにでもした形で
少し噛んでは
吐き捨てる
チューインガムのようにでも呟こう
*
巻いたタバコに火を点けた1993なんだかきもち空気もまだきれいで
ガソリンなんかもまだやすく
幾らだったかは忘れたけれど時給七百円くらいで車輪は回ることもできた
空の近い地方都市を
その町中を
平べったく
ただ東の方に白い町並みが見えて
余白だらけのなかを
うすくスキッドマークを付けて
不良でもなく真面
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