ヌートリアンナイト/たりぽん(大理 奔)
 
言葉でうまく紡げない夜を
上手に梳(と)かしてくれ
海を幽かに織り込んだ
雪にもなれない
中途半端な雨風が
並ばなかったピースを
山のふもとに吹いてゆくから

  こんな夜でも
  鳥は
  飛ぶのだろうか

川の茂みに洋鼠の目が光り
足許にへばりつき湿った
いかさまなピースを狙って
まるでじっとしている
二等星のようだ

  星は流れないね
  遠く
  トランペットだけを鳴らして

縫うように絡まる
誰かと私のあしあと
雪が溶けてしまえば
そんな事は忘れてしまえる
このまま
吹かれていたいから
目を閉じて
闇からも目をそらす

  カサカサと小動物の足音
  カサカサと腹を空かせて



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